世界遺産・厳島神社の近くに位置する宮島水族館(みやじマリン)。この水族館を象徴する生き物の一つが、瀬戸内海の食物連鎖の頂点に立つ貴重な動物、スナメリです。
宮島水族館では、「瀬戸内のくじら」ゾーンでスナメリの姿を見ることができますが、なぜこの鯨の仲間が、外洋ではなく内海である瀬戸内海に定住しているのでしょうか。
この記事では、スナメリのユニークな生態と、彼らが瀬戸内海を選んだ理由、そして現在直面している環境問題についてご紹介します。
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1. スナメリはイルカ?クジラ?ユニークな姿形と生態
スナメリは、体長2メートルに満たない小型の鯨類で、しばしば「イルカの仲間」と説明されます。しかし、その見た目や生態には非常にユニークな特徴があります。
最大の特徴:「背びれ」がない
スナメリの最も目立つ特徴は、一般的なイルカやクジラとは異なり、背びれがないことです。この丸みを帯びた体形が、彼らが水深の浅い沿岸域や川の河口近くなど、狭い場所や浅い場所での生活に適応した結果と考えられています。
広温性・広塩性を持つ沿岸性のスペシャリスト
スナメリは、日本近海からペルシャ湾まで、アジアの沿岸部に広く分布していますが、特に水深の浅い沿岸を好みます。
- 定住を可能にする耐性: 瀬戸内海のような内海は、外海に比べて水温や塩分濃度の変化が大きくなりがちです。スナメリは、そうした環境の変化に耐える広温性・広塩性(幅広い温度・塩分濃度への耐性)を備えているため、閉鎖的な瀬戸内海に定住できるのです。
2. なぜスナメリは瀬戸内海を「家」にしたのか
スナメリは、瀬戸内海に定住している数少ない鯨類です。彼らがこの場所を選んだ理由には、瀬戸内海の独特な環境が関係しています。
定住を可能にした瀬戸内海の特性
- 餌となる小魚の豊かさ: スナメリの主な餌は、イワシ、アジ、イカナゴ、コノシロなどの小魚やイカです。かつて豊かな海だった瀬戸内海は、これらの餌が豊富に存在し、スナメリの生活を支えていました。
- 複雑な地形と浅い海域: 瀬戸内海は島々が多く、水深の浅い場所や島と島の間の流れが速い場所が多く存在します。スナメリはこのような地形を好み、生活の拠点としています。
このように、スナメリは瀬戸内海の食物連鎖の頂点に位置し、この海の豊かさを象徴する生き物として知られています。
3. 宮島水族館のスナメリ展示が伝えるメッセージ
宮島水族館の展示は、スナメリの愛らしい姿を見せるだけでなく、彼らを取り巻く環境について考えさせるメッセージを発信しています。
【スナメリが直面する危機】
かつては1万頭近くが生息していたとも言われる瀬戸内海のスナメリですが、その数は現在大きく減少していると懸念されています。その背景には、主に以下の問題があります。
- 海の環境変化: 沿岸域の埋め立てや、生活排水による水質変化が、スナメリの住処や餌となる生物に影響を及ぼしています。
- 混獲・船舶事故: 漁網に誤ってかかってしまう混獲(こんかく)や、瀬戸内海を航行する船舶との衝突事故も減少の一因と考えられています。
宮島水族館は、スナメリを瀬戸内海の**「環境のシンボル」**として位置づけ、彼らを守ることは、美しい瀬戸内海全体を守ることにつながるという重要なメッセージを来館者に伝えています。
【宮島水族館の展示情報】
宮島水族館では、館内の「瀬戸内のくじら」ゾーンにある水槽で、スナメリがゆったりと泳ぐ姿を観察することができます。彼らの穏やかな動きや、丸い頭と背びれのない独特の体形を、ぜひ間近でご覧ください。


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