水槽で悠々と泳ぐ魚や、愛らしい仕草を見せる動物たち。来館者の目を楽しませてくれる水族館ですが、彼らが安全で健康に暮らすための努力は、普段は見えない**「バックヤード(裏側)」**で行われています。
特に、新しい生き物を水槽に迎える際の**「搬入」と「検疫(けんえき)」**は、水族館全体の環境を守るために欠かせない、まさにプロの仕事です。
この記事では、宮島水族館(みやじマリン)をはじめとする水族館の裏側で行われている、大切な魚の迎え入れのプロセスをご紹介します。
※この記事に掲載している画像はイメージです。実際の団体、個人、店舗、商品などとは異なる場合があります。
1. 新しい仲間を迎える「搬入」の繊細な作業
魚にとって、環境が変わることは大きなストレスです。新しい魚が水族館に到着してから展示水槽に入るまでには、細心の注意を払った「搬入」作業が行われます。
- 水合わせ(水温・水質調整): 魚が運ばれてきた袋や容器の水を、すぐに水槽の水と混ぜることはしません。まずは水温や水質を徐々に近づけ、魚が環境の変化に驚かないよう時間をかけて慣れさせます。この繊細な作業が、魚の健康を左右します。
- 生体の状態チェック: 搬入時には、魚の体表に傷や異常がないか、動きに問題がないかなど、細部にわたって健康状態がチェックされます。この時点でわずかな異変も見逃さないことが、次の「検疫」ステップへと繋がります。
2. 水族館全体の安全を守る「検疫」システム
搬入された魚は、すぐに展示水槽には入れません。これは、病気や寄生虫を持ち込み、既存の魚たちに感染させてしまうリスクを防ぐためです。
**検疫(隔離飼育)**は、水族館の環境衛生を守る上での鉄則です。
検疫プロセスで行われるプロの仕事
| 項目 | 目的と具体的な作業 |
| 隔離 | 新しい魚を専用の検疫水槽で、既存の魚とは完全に切り離して飼育します。この期間、魚の状態を綿密に観察します。 |
| 観察・検査 | 魚の食欲、体色、呼吸、泳ぎ方などを日々記録します。必要に応じて、魚のフンや体表の粘液などを採取し、専門的な検査を行うこともあります。 |
| 治療・調整 | 異常が見られた場合は、適切な処置や投薬を行い、完全に回復するまで展示を見送ります。健康で安定した状態になるまで、この検疫期間は数週間から数か月に及ぶこともあります。 |
3. 飼育員の役割:命の守り手として
宮島水族館で生き物の飼育に携わる飼育員は、これらの作業を通じて、展示生物の命の守り手としての役割を担っています。
- 専門知識と体力: 魚の種類ごとの生態や病気の知識はもちろん、潜水作業による水槽内の清掃や、重いエサの準備、生体の運搬など、多岐にわたる業務に対応できる体力も求められます。
- 衛生管理の徹底: 魚の病気を持ち込まないため、バックヤードでは作業着を水族館内で洗濯するなど、外部からの菌やウイルスの持ち込みを防ぐ衛生管理が徹底されています。
私たちが目にする美しい水槽の裏側には、こうした飼育員による地道で専門性の高い努力が詰まっています。宮島水族館を訪れた際は、水槽の魚たちが元気でいるのは、バックヤードで支えるプロの仕事があるからだと想像してみるのも面白いでしょう。


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