広島を代表する観光地、厳島(宮島)と大久野島。この二つの島には、それぞれニホンジカとカイウサギという、島を象徴する動物たちが暮らしています。彼らの愛らしい姿は私たちを癒してくれますが、その一方で、彼らは人間に頼らず自立した「野生の生き物」として島で生き抜いています。宮島のシカと大久野島のウサギが本来持っている生態と、私たちが守るべき「共生のためのルール」について深く掘り下げてみましょう。
※この記事に掲載している画像はイメージです。実際の団体、個人、店舗、商品などとは異なる場合があります。
1. 宮島のニホンジカ:野生としての誇りと厳しい現実
宮島のシカは、奈良のシカとは異なり、地域固有の野生動物として位置づけられています。彼らは自然環境の中で自ら餌を探して生きる力を持っていますが、観光客が増えたことでその生態に変化が生じています。
【シカの生態】
シカは本来、山間部の草や木の葉、木の実などを食べる草食動物です。彼らは牛のように胃が4つあり、一度食べたものを口に戻して噛み直す「反芻(はんすう)」という消化方法をとります。
- 野生の証: 宮島のシカは、人間が与える食べ物を口にすることで、本来の食生活を乱し、病気や消化不良を起こすリスクがあります。
- 紙の危険: お土産の袋やパンフレットをシカが食べる姿を見かけることがありますが、現代の紙には化学的な加工が施されていることが多く、シカにとっては命に関わる危険なものです。
【宮島での共生ルール】
廿日市市や環境省は、シカを野生動物として自立させ、人とシカが安全に共存するためのルールを設けています。
- 餌をやらない(鹿せんべいも含めて)人間が与える食べ物(特に人間の加工食品や紙類)は、シカの健康を害し、最悪の場合死に至らしめます。また、餌を与えることでシカが市街地に集中し、人に危害を加えるリスクを高めます。
- 触らない、追いかけない野生動物であるシカに不必要に近づいたり、触ったりすると、シカにストレスを与え、興奮したシカが角で突くなどして人に危害を加える可能性があります。
- ゴミは持ち帰るか、指定の場所に捨てるゴミのポイ捨ては、シカが誤食する原因となります。ゴミは必ず管理を徹底しましょう。
2. 大久野島のカイウサギ:歴史的背景と「楽園」を守る配慮
「うさぎ島」として全国的に有名な大久野島には、約900羽以上(推定)のカイウサギが生息しています。現在のウサギたちは、戦中に毒ガス製造の実験に使われていたウサギの子孫ではないとされていますが、その数の多さから島独自の生態系を形成しています。

【ウサギの生態】
島で暮らすウサギは、穴を掘って巣を作り、集団で生活する習性を持っています。彼らは非常にストレスに弱く、また、骨が軽くできているため(含気骨)、抱き上げたり落としたりすると骨折などの大怪我につながりやすい動物です。
- デリケートな体: ウサギは人間と違い、食べられるものが限られています。お菓子やパン、ネギなどの人間が食べるものを与えると、深刻な体調不良を引き起こします。
- 昼間の休息: 暑さに弱いウサギは、日中は日陰で休んでいることが多いです。活発に動き回るのは早朝や夕方など涼しい時間帯です。
【大久野島での共生ルール】
環境省や休暇村大久野島では、ウサギの安全と島の環境を守るためのルールを呼びかけています。
| 守るべき主なルール | 理由 |
| ウサギにさわらない、抱っこしない | ストレスや骨折の原因となる。マダニなど人間にうつる可能性のある病気を持っている場合がある。 |
| 道路上や建物の玄関前で餌をあげない | バスや自転車との事故の原因となるため。 |
| 人間のお菓子やパンを与えない | ウサギが体の調子を崩す原因となる。 |
| 食べ残しやゴミは必ず持ち帰る | 食べ残しがネズミやイノシシのエサとなり、島の生態系を乱し、ウサギや人への被害を招く可能性がある。 |
| ウサギを島外に持ち出さない | 鳥獣保護法により禁止されており、病気の拡散を防ぐため。 |

まとめ
宮島のシカも大久野島のウサギも、私たち観光客に愛される存在ですが、その実態は自然の中で生きる動物です。
広島の貴重な自然環境と、そこで暮らす動物たちの健康を守るため、私たちは愛玩動物としてではなく、**「野生動物との適切な共生」**という視点を持って接することが大切です。ルールを守り、遠くからそっと見守る優しさが、彼らの命を救い、島の美しい風景を守ることにつながります。
これらのルールやマナーは、廿日市市や環境省の公式サイトで確認することができます。お出かけ前にぜひ一度、最新の情報を確認するようにしましょう。



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