動物と触れ合う時間は、私たちに癒しや安らぎを与えてくれます。しかし、身近なペットや、山間部で遭遇する野生動物の中には、人間に病気をうつす可能性のある病原体を持っている場合があります。
こうした動物からヒトに感染する病気を**「動物由来感染症」、または「人獣共通感染症(ズーノーシス)」**と呼びます。広島県内でも、そのリスクはゼロではありません。大切な家族である動物と、私たち自身の健康を守るために、正しい知識と適切な予防法を理解しておきましょう。
※この記事に掲載している画像はイメージです。実際の団体、個人、店舗、商品などとは異なる場合があります。
1. 動物由来感染症の身近なリスク
動物由来感染症の原因となる病原体(細菌、ウイルス、寄生虫など)は、動物の種類や生活環境によってさまざまです。特に注意したいのは、日常の「過度な接触」や「野生動物との不用意な接触」です。
【ペットからうつる身近な感染症(例)】
- 猫ひっかき病: ネコの爪や咬み傷、ネコに付いたノミの糞などから感染します。発熱やリンパ節の腫れなどを引き起こします。
- オウム病: 鳥類(インコ、オウム、ハトなど)の排泄物から出た病原体を吸い込むことで感染します。肺炎やインフルエンザのような症状が出ることがあります。
- パスツレラ症: イヌやネコの口の中の常在菌で、咬まれたり、なめられたりすることで傷口から感染し、呼吸器疾患などを引き起こすことがあります。
- サルモネラ症: カメ(特にミドリガメ)などの爬虫類や家畜などから感染する食中毒の原因菌で、下痢や腹痛を引き起こします。

【野生動物からうつる感染症(例)】
- 狂犬病: ほぼすべての哺乳類から感染する可能性があり、発症すると致死率が非常に高い恐ろしい病気です。日本では1957年以降発生していませんが、海外からの侵入リスクは常にあります。
- ツツガムシ病・日本紅斑熱: 野生のネズミなどに寄生するダニ(ツツガムシ)やマダニを介して感染し、発熱や発疹などの症状が出ます。山や畑での作業時に注意が必要です。
2. 「過度なふれあい」と「衛生管理」の見直し
動物由来感染症の多くは、動物との過度な接触や、動物の身の回りの衛生管理不足によって引き起こされます。感染リスクを減らすための予防策を徹底しましょう。
私たちが実践できる予防の基本
- 動物にさわったら「手洗い」を徹底する 動物と触れ合った後や、排泄物を処理した後、動物の身の回りのものに触れた後は、必ず石鹸で手を洗い、消毒しましょう。
- 口移しや食器の共用を避ける 動物の口の中には多くの細菌がいるため、口移しでのエサやり、箸やスプーンの共用、動物と同じ布団で寝るなどの濃厚接触は避けましょう。
- 動物の身の回りを清潔に保つ 動物の寝床やケージ、鳥かごはこまめに掃除し、排泄物は速やかに処理します。タオルの共有なども避けましょう。
- 野生動物には「触れない」「近づかない」 野生動物(タヌキ、ハクビシン、イノシシ、野良猫など)は、何の病原体を持っているかわかりません。むやみに触ったり、エサを与えたり、咬まれたりしないよう、接触を避けましょう。
- ペットの健康状態をチェック ペットに異常(下痢、皮膚の異常、食欲不振など)が見られたら、早めに動物病院を受診しましょう。動物の健康は、飼い主と家族の健康にも直結します。
3. 感染の疑いがある場合の相談窓口
もし動物に咬まれたり、ひっかかれたりした後で体調に異変を感じたり、飼っている動物の健康状態について不安を感じたりした場合は、適切な窓口に相談することが重要です。
- 人の健康に関する相談: 発熱や体調不良がある場合は、まずは医療機関を受診してください。その際、動物との接触があったことを必ず医師に伝えてください。
【動物の健康・飼育に関する主な行政相談窓口(広島県内)】
動物の異常や衛生管理、動物由来感染症全般の予防についてなど、動物愛護に関する一般的な相談は、下記の窓口で受け付けています。
- 広島市動物愛護センター(広島市在住者向け):082-243-6058
- 広島県動物愛護センター(広島市、呉市、福山市以外在住者向け):0848-60-8511
※各市の動物愛護センターについては、お住まいの自治体にお問い合わせください。
※注意点: 感染症の診断・治療について、人の場合は医療機関へ、ペットの場合は獣医師にご相談ください。動物愛護センターは診断・治療を行う機関ではありません。
動物由来感染症は、予防法を知っていれば過度に恐れる必要はありません。適切な知識と責任ある行動で、動物と安全かつ健康的に共存する社会を目指しましょう。


コメント