広島県の夏の風物詩として450年以上の歴史を持つ「三次の鵜飼」。馬洗川(ばせんがわ)の夜を舞台に、鵜匠(うしょう)と鵜(う)が一体となって繰り広げる幽玄な漁は、広島県無形民俗文化財にも指定されている伝統の技です。
この伝統漁法の裏側には、鵜という鳥の驚くべき生態と、それを最大限に引き出す鵜匠たちの工夫が詰まっています。今回は、知られざる鵜の生態と、三次の鵜飼ならではの伝統漁法の舞台裏をご紹介します。
※この記事に掲載している画像はイメージです。実際の団体、個人、店舗、商品などとは異なる場合があります。
1.漁を支える「鵜」の驚異的な身体能力
鵜飼で活躍するのは主にウミウです。彼らは魚を捕ることに特化した、驚異的な身体能力を持っています。

鵜の生態と漁に必要な能力(一例)
- 驚異の潜水能力: 鵜は水中に潜ることに非常に長けており、数分間潜水し、巧みに魚を追い詰めることができます。
- 水中での視力: 水中での視力が優れており、夜間の川でも、鵜舟の灯り(カーバイトランプ)に集まる魚を正確に捉えることができます。
- 喉の柔軟性: 捕獲した魚は一時的に喉(のど)に貯める習性があります。鵜匠は、鵜の首に巻かれた縄(手縄)で魚を完全に呑み込めないようにすることで、魚を回収します。
彼らは単なる「漁の道具」ではなく、鵜匠との長年の信頼関係と、本来持っている野生の能力によって、この伝統漁法を成立させているのです。
2.三次鵜飼ならではの「伝統漁法の妙技」
三次(みよし)の鵜飼は、他の地域の鵜飼とは異なる、独自の工夫と技術が発展してきた歴史があります。これは、漁獲量を増やすための鵜匠たちの知恵と努力の結晶です。
- 日本一長い「手縄」: 三次の鵜飼で使用される手縄(たなわ)は、およそ7メートルと全国で最も長いことが特徴です。これにより、鵜はより広い範囲で自由に潜水し、魚を捕獲できます。
- 遊覧船との「並走方式」: 三次の鵜飼では、鵜舟と観光客が乗る遊覧船が並走する「回遊方式」をとっています。これにより、観光客は鵜が水に潜り、魚を捕らえて吐き出すまでのダイナミックな瞬間を、非常に間近で観察することができます。
- 夜間の照明の工夫: 他の地域では松明(たいまつ)が主流ですが、三次では松明からオガラ、そして現在はカーバイトランプを使うことで、より強い光で水面を照らし、魚を集める工夫がされています。
これらの独自の技と工夫が、三次の鵜飼を単なる伝統漁法以上の、間近で迫力を体験できる観光資源へと高めています。
3.三次の鵜飼を楽しむための基本情報
三次の鵜飼は、江の川の支流である馬洗川で行われています。
【参考となる乗船情報】
◆ 三次の鵜飼(乗船場)
- 集合場所: 広島県三次市十日市親水公園内・鵜飼乗船場
- 鵜飼開催期間: 毎年6月1日~9月10日頃(変動あり)
- 運行時間: 19:30~(19:00までに受付を済ませる必要があります)
- 運行曜日: 期間中の毎週 金・土・日・月曜日運航(最終日は水曜日も運航)
- 料金(大人): 4,000円
- お問い合わせ先: 三次市観光協会(0824-63-9268)
- (注記:料金や運行期間、運行スケジュールは年度や天候によって変更・中止となる可能性があるため、訪問前に必ず公式情報をご確認ください。)
伝統と動物の生態が織りなす三次の鵜飼は、現代に生きる私たちに、自然と人間の営みの深いつながりを教えてくれます。夏の夜、ぜひその歴史絵巻に触れてみてください。


コメント