動物園の展示方法には、深い「意図」がある!
動物園を歩いていると、「なぜこの動物とあの動物が隣にいるんだろう?」と疑問に思うことはありませんか?特に、安佐動物公園では、アフリカの王者ライオンと、アジアの密林の覇者トラという、生息地が異なるはずの二大肉食獣が、比較的近い場所で展示されています。
実は、これには動物園が来園者に伝えたい、教育的な深い意図が隠されています。
今回は、安佐動物公園が採用する二つの展示方法、特に「生息地別」を基本としながらも、あえて「分類別」に動物を配置するゾーニングの秘密について解説します。
※この記事に掲載している画像はイメージです。実際の団体、個人、店舗、商品などとは異なる場合があります。
動物園の基本:二つの展示スタイル
動物園の展示方法には、主に二つの考え方があります。安佐動物公園では、これらを使い分けています。
1. 動物地理学的展示(生息地別)
これは、同じ地域に生息する動物たちをまとめて展示する方法です。
安佐動物公園では、キリンやシマウマ、アフリカゾウなどを集めた「アフリカの動物」ゾーンのように、世界の特定の地域を再現しています。これにより、来園者はその地域の生態系や、動物たちが野生でどのように共存しているかをまとめて学ぶことができます。これは、動物の生息環境への気づきや学びを深めることを目的としています。
- 例: アフリカゾーン、日本・アジアの動物ゾーン(フタコブラクダやマレーバクなどが展示されています)
2. 分類学的展示(仲間別)
これは、種類や習性が似た動物をまとめて展示する方法です。
ライオンとトラが隣接しているのは、この「分類学的展示」の意図が強く反映されている部分です。ライオンはアフリカ、トラはアジアに生息していますが、両者ともネコ科の大型肉食獣であり、その体のつくりや狩りの方法、習性には共通点が多くあります。
ライオンとトラを並べる理由
| 比較ポイント | ライオン(アフリカ) | トラ(アジア) |
| 生息地 | 主にサバンナ | 主に密林や草原 |
| 社会性 | プライド(群れ)で生活 | 基本的に単独で生活 |
| 分類 | ネコ科 | ネコ科 |
| 行動・形態 | 共通の捕食動物としての特徴を持つ | 共通の捕食動物としての特徴を持つ |
このように、あえて生息地を無視して並べることで、来園者は「ネコ科という大きな仲間」の中で、生息環境の違いによってライオンは群れを作り、トラは単独で生活するという進化や適応の違いを比較して学ぶことができます。
ゾーニングの秘密:学ぶことを深めるための工夫

安佐動物公園は、園全体を動物地理学的展示を基本としながらも、要所要所で分類学的展示を組み込むことで、展示に多面的な教育効果を持たせています。
動物園の展示は、単に動物を見せるだけでなく、来園者に知識や気づきを与えるという重要な役割を担っています。
安佐動物公園のゾーニング意図(ライオン・トラ展示の場合)
- 比較学習の促進: 似た動物を並べることで、それぞれの動物が持つ個性や、生息環境への適応の違いを明確にする。
- 種の系統理解: ライオンもトラも同じネコ科という視点から、動物の系統的なつながりを理解しやすくする。

動物園をさらに楽しむための視点
次に安佐動物公園を訪れた際は、ぜひこのゾーニングの意図に注目してみてください。
注目したい展示リスト
- ヒヒ山(ゾーン1・エントランス): アフリカの岩丘(コピエ)をイメージした展示で、動物の行動学的な面白さに焦点を当てています。
- 肉食動物舎(ライオン・トラ): 分類学的展示の視点から、二つの王者の違いを見比べてみましょう。
- 日本・アジアの動物(ゾーン6): 生息地ごとの環境再現(地理学的展示)を意識して、どのような動物たちが一緒に暮らしているか観察してみましょう。
安佐動物公園は、こうした工夫を通して、動物たちの命を大切にすること、そして地球環境について考えるきっかけを与えてくれています。
【ご来園前の注意】 ※この記事で紹介している動物は、天候や動物の体調、施設の都合などにより、展示内容が急遽変更・中止となる場合があります。最新の展示状況は、安佐動物公園の公式ウェブサイトなどで事前にご確認のうえ、お出かけください。


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