山が近く、豊かな自然に恵まれている広島県では、ツキノワグマが生息しており、人里での目撃情報がたびたび寄せられています。クマは本来臆病な動物ですが、人との不意な遭遇や、餌を求めて人里に近づくことで、思わぬ事故につながる危険性があります。
「かわいい動物」としてではなく、「遭遇するリスクがある野生動物」として正しく理解し、備えることが重要です。この記事では、広島県民やハイキングなどで山に入る方が知っておくべき、ツキノワグマ遭遇時の正しい対処法と、予防策をご紹介します。
※この記事に掲載している画像はイメージです。実際の団体、個人、店舗、商品などとは異なる場合があります。

1.クマを「寄せ付けない」ための日常生活での予防策
クマが人里に出没する原因の多くは、餌を求めているためです。クマの行動範囲を広げないためには、まず「人家周辺に餌となるものを置かない」ことが基本となります。
- 誘引物となる食べ物を除去する
- 家の周りや畑に残飯、生ゴミ、廃果(落ちた柿や栗など)を放置しない。
- ペットフードを野外に置いたままにしない。
- 柿や栗の木がある場合は、早めに収穫するか、クマが登れないようトタン巻きなどの対策を行う。
- 出没しやすい環境を減らす
- 家屋周辺や通学路沿いのやぶ、竹林は、クマの「潜み場所」となるため、下草刈りを行い見通しを良くする。
- 車庫や物置の扉は必ず閉める。
- 活動的な時間帯を意識する
- クマの活動は、特に早朝や夕方に活発になると言われています。この時間帯に出歩く際は、特に周囲に注意を払いましょう。
2.山に入る時の「予防装備」と心構え
山菜採り、キノコ狩り、登山などで山に入る際は、クマに「人間の存在」を知らせることが不意の遭遇を避ける最も有効な手段です。
山でのクマ対策チェックリスト

- 音を出す装備の携帯:クマ鈴やラジオなど、音の出るものを身につけ、常に人の存在を知らせる。
- 単独行動を避ける:可能であれば複数人で行動する。
- 視界の悪い場所での注意:雨の日や川沿いは物音が伝わりにくいため、特に大きな音を出す。
- 痕跡を見つけたら引き返す:クマの糞や足跡、木を引っ掻いた跡(ツメ痕)などを見つけた場合は、近くにクマがいる可能性が高いため、深入りせず速やかに引き返す。
- 荷物管理の徹底:残飯などの誘引物は必ず持ち帰り、山中に放置しない。
3.もしツキノワグマに遭遇してしまった場合の正しい対処法
クマは本来、人間を避けますが、不意に鉢合わせすると、驚きや恐怖から攻撃的になることがあります。状況に応じた冷静な行動が、被害を最小限に食い止める鍵となります。
遭遇時の行動マニュアル
| クマの状況 | 行動すべきこと | やってはいけないこと |
| こちらに気づいていない場合 | 静かに、ゆっくりと後ずさりしてその場を立ち去る。 | 大声を出したり、急に走り出したりする。 |
| こちらに気づいている(距離がある)場合 | 落ち着いてクマから目を離さずに、ゆっくり後ずさりして距離をとる。静かに話しかけることで、人間だと認識させる。 | 背中を見せて走って逃げる(本能的に追いかけてくる可能性がある)。 |
| ばったり遭遇し、攻撃されそうな場合 | 持ち物(ザックなど)をその場に置いてクマの注意をそらす。地面にうつ伏せになり、両腕で顔や頭(首の血管)を覆い、ダメージを最小限に抑える姿勢をとる。 | 大声を出して威嚇したり、石などを投げたりする。立ち向かう。 |
クマが立ち去るまでその場を動かず、安全が確認できてからゆっくりと退避しましょう。
4.クマを目撃・被害を受けた場合の連絡先
人家周辺でクマを目撃した場合や、農作物などの被害を受けた場合は、決して自分で対処せず、速やかに最寄りの市町役場や警察署に連絡してください。
【クマの目撃・被害に関する連絡先】
クマの出没状況は、地域によって対応部署が異なる場合がありますが、まずはお住まいの市町役場にご連絡いただくか、最寄りの警察署に連絡して指示を仰いでください。
<参考窓口(例)>
- 広島県庁 自然環境課 野生生物グループ: 082-513-2933
- 福山市役所 農林水産課(林務担当): 084-928-1033(クマ目撃時の連絡先として公表されている一例)
- 最寄りの警察署
(注記:上記の連絡先はあくまで一例です。夜間や休日など、時間帯によって対応窓口が変わることがありますので、緊急時には警察(110番)に連絡するか、事前にご自身の地域の対応窓口をご確認ください。)
ツキノワグマとの安全な共存には、彼らの生態を理解し、冷静に対処する心構えが不可欠です。この記事が、皆さんの安全対策の一助となれば幸いです。


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